「じゃあ、樹菜ちゃん、乗って!」

「うん!」

少し緊張しながら車のドアを開けると…。

「おはよ」

後部座席の真ん中にソラ。

そして、窓側の席には…。

「じゅなちゃん、おはよ!なんかちょっと久々だね!」

龍星君が!

あの夏祭りの日から、結局連絡も取ってなかったし、会うのも久々だ。

やばいよ!すっごくドキドキする…。

「おはよう!そうだね!久々だね!」

私は龍星君とソラに笑顔を向けながら席に座った。

車のドアを閉め、ママに手を振る。

そして出発した。




「いやー、樹菜ちゃん、見ない間に益々可愛くなったねー!!」

出発して少し経った時、拓海さんがそう言った。

「ほんとー?ありがとう!拓海さんも、相変わらずかっこいいね!」

「ほんとー?いやー、嬉しいなー!」

楓さんも美人だし、拓海さんも本当にかっこいい。

楓さんもだけど、拓海さんも明るくて本当に良い人なんだよね。

だから私は昔から、拓海さんとはこんな風に友達みたいなやり取りをよくしている。

「いや、でも冗談抜きでほんと樹菜ちゃん可愛くなったよ!な、空!」

バックミラー越しから拓海さんはソラの方を見てソラに話を振る。

「な、なんで俺に振るんだよ!!」

何故かソラは急にアタフタして顔を赤くする。

何照れてるのソラ…。

そんなソラの態度に拓海さんは笑うと、

「相変わらずかわいいな、空!で、どうなんだー?樹菜ちゃん、可愛くなったと思うだろー?なー、どうなんだー?」

益々ソラをからかう。

「うっせーなー!」

「おいおい、どうなんだー?答えないと今日晩飯抜きだぞー?」

「あーもうしつけぇ…」

そんなやり取りを見て楓さんも私も、そして龍星君は笑う。

すると、龍星君も、

「ソラー、どうなの?」

と、聞いた。

渋々、と言った様子で、ソラは

「うん、まぁ…うん。可愛く…なったんじゃね?」

うつむき、小さな声でそう答えた。

それを聞いた拓海さんと楓さんは声を揃えて

「空、かわいすぎ!」

と言った。

「確かにソラ、超かわいい!」

龍星君もソラを見てクスクス笑う。

「うるせぇー…」

みんなにからかわれたソラは小さい声で呟くように言った。

出発早々、車内は既に盛り上がっていた。