ネットの世界の学校。
通称楽園。
登録すればだれでもこの楽園へと入り込めるようになる。
リリアは当然のように笑って「そうだよ?」という。
「まっまってよ・・・?楽園って落ちこぼれの集まりで、そんなところに登録したってばれたらこの先ずっとバカにされるよ?」
私がそういうと、リリアは真剣な表情で私を見つめた。

「じゃあ、これからも悩んだり辛い思いをして生きていくの?」

「そっそれは・・・」

それは絶対に嫌だ。休憩が必要だと思った。
心ではそう思うのに、答えが出せない私にリリアが言った。

「あたし、あんなに冷たい世界ばっかりじゃないって思うの、楽園なら違う県から来た人だって集まってくるし、もっと広い世界を知れると思う」

リリアは上を向いて、んーっと伸びをした。

「希望を持ちたいの!!」

グレーの透き通った瞳をリンリンに輝かせていうリリアに吸い込まれそうな気分になった。

「希望・・・か」

不意に枕元に置いてある鏡に映った自分の顔を、私は見つめてみた。

ぷっ・・・何て暗い顔をしているんだか。

私は、三笠千奈(ミカサ チナ)。
明るくて強気なところが取り柄だったはずだ。
それが今はどうだろう。

和良・・・彼氏と別れてからこんな暗い顔をしていたのだと思うとなんだか恥ずかしくなった。
なんだか笑みがこぼれる。

「なにひとりで笑ってんのっ!」
なんてリリアに突っ込まれるが、そうだ・・・私たちは、

リリアが笑ったから私も笑い、私が笑ったからリリアが笑う。

それが本来の私たちだったはずだ。

そんなこともできないほど、私たちは疲れていたのだろう。
なるほど、少し休憩が必要だ。

「うん、行こう・・・楽園へ」

私は久しぶりに輝いた瞳をしていたと思う。