結局。
眞樹とは何の関係の無いことだった。
俺は何を勘違いしたんだろう?

俺の親友を疑うなんて。


俺はただ……
眞樹を特別視していただけだったのだろうか?

勝手にオカルト教団を率いているのが眞樹に間違いないと思い込んで。


俺は友達失格だった。

それでも眞樹は許してくれた。


『こんな辛い目に遭ったんだ。この位の勘違い誰にでもあるよ』
そう言って。

アイツも器がデカいな。
単純かな俺?

本当に嬉しかったんだ。
アイツと今回の事が無関係だと解って。


でも……
心の何処で疑っている。


俺を抹殺する目的でアンビエンス・エフェクトを開発するようなヤツだから……


でも……
それも俺の憶測に違いないのかな?


『もう一つ分からないことがある。何故学校だったんだ?それもリアルな』
俺がそう聞いた時、眞樹はハッキリ言った。


『俺は本当にお前の死を望んでいた』
と。

あの言葉がある限り、俺はきっと一生眞樹を疑い続けるのだろうと思った。




 小高い丘の崖下は、国道の抜け道になっていた。

その交通量の多さに目を付けて、学習塾を始めようとした望月一馬。


氷室博士教授と佐伯真実の要求をのみ、その上に俺の部屋を作ったそうだ。
何の目的かも知らされないままに……


ただ……
代理母から産まれて来る子供を超天才児に育てるためだと言う、博士の言葉を信じて。


佐伯真実は産まれてすぐ母親と死別した乳児を、若林結子に預けたいと望月一馬に進言した。
それが俺だった。

望月一馬は快諾した。
佐伯真実が、若林結子を好きなことは昔から知っていたからだった。


病気療養のため仕事を休んでいた若林結子を、眞樹の世話をさせる目的で佐伯真実が呼び戻したことも承知していたのだった。


病気療養、それは……
宇都宮まことを育て、俺と眞樹を子宮内で育てるための処置だった。




 俺と眞樹は母の手によって育てられた。

母はあの施錠された部屋で眞樹に授乳した。
眞樹を抱き締めた。

離れて暮らす我が子を愛しみながら。


幾ら代理母とは言え、お腹を痛めた子供はやはり我が子だったのだ。




博士は俺を覚醒させるために、母と遠ざけた。

それが博士の命令だったに違いない。

そうすればきっと俺が瞬間移動すると思って、孤独にさせたのだった。