そして……
眞樹は俺の通う高校を受験した。
勉強なんて期待していなかった。

優秀な先生が居る訳でもなかったから。


それでも……
俺を知るために……
受験したのだった。


松本君が俺と間違えて飛び付いて来た時から……
いや、本当はもっと前から気遣いていた。

眞樹にソックリなヤツがいると言うことに。


きっと真実を確かる目的だったんだ。
だから結論が出るまで時間がかかったんだ。
そしてその上で、俺に近付く。


俺は携帯電話一つで、まんまと嵌められた。
やはり俺は単純な男だったようだ。
松本君から聞いたであろう俺の孤独。
きっと優しい言葉ーつで手なずけられると思ったのだろうが?




 善意のボランティアグループ。

望月一馬はそれを目指した訳ではなかった。

宗教法人でもなかった。


彼は真に、日本の行く末を案じていた。

博士の誘いに乗ったのは、借りを作るためだった。


宇宙人をやっつけるための化学兵器の開発。
それが最終目的だった。


そのための人質。

眞樹を引き受けた本当の理由は正にそれだったのだ。


眞樹に用意されていた過酷な運命。


それに気付きながらも逃げ出せない。


全国でのトップ成績。


其処まで導いてくれた教団の英才教育システム。


それが全て自由に使える立場。


その悦楽に眞樹はハマっていたのだ。




それは、一緒に育っている孤児達と切磋琢磨することで益々膨張していったのだった。


それは、より高度の頭脳集団を構築させるために必要不可欠だったのだ。




 有事対策頭脳集団。

それが本来の教団設立目的だったのだから。


全てのしがらみを背負わさせて、上に立てる人物へと眞樹を覚醒させる。


眞樹にはこれから先も、辛い試練が待ち受けていたのだった。




 俺は眞樹が急に哀れになった。


俺の親友・眞樹のために出来ることを模索した。


そして俺は、ある答えを導き出し覚悟を決めた。


それは僕がもっと孤独になることだった。
でも僕はそれを試してみる気でいた。