でも当然の事。
宇都宮まことにも家族は居る。

でも……
その事実は、隠されたままだった。


自殺した娘の胎児。

本来なら、その家族が超未熟児の経費を支払わなければならないからだ。

だから……
誰にも内緒で……

真実は何時か宇都宮まことを家族の元へ返す事を思っていたのだった。

その為に、若林結子に宇都宮まことを預けたのだ。




 だが……
全員が真実に賛成ではなかった。
中には業者と癒着する者もいた。


宇都宮まことは、それらの人の実験台にさせられる運命だったのだ。


超未熟児だった為に、年齢の割に体の小さなまことは虐めの対象になった。

行動が遅いのが、他の施設児達のイライラを招いたのだった。


超未熟児だった為に発育不足は否めない。
でも施設児童にとっては、そんな事はどうでも良かった。


ただ彼等は欲求不満グッズが欲しかっただけだった。


日頃学校で虐められている彼等には、フリースクールに通っている宇都宮まことが羨ましかったのだ。

真実は、宇都宮まことの為にフリースクールを開設していたのだった。




 石川真由美も赤坂奈津美も同じだった。

彼女達も、実験材料として幹部が目を着けていた孤児だったのだ。


この国の未来の為に。


それが、業者と癒着した幹部の理論だった。


幹部候補生等は自分達の都合の良いようにデータを改ざんし、新薬を試していたのだった。




 それを知らず、眞樹はゲームに彼女達を使った。


あのアンビエンス エフェクトを完成させようと躍起だった眞樹。


自分の身近な人を使ってしまったから、起こった事件だったのだ。


そうなんだ。
事件なんだ。
俺の身に降りかかった事故は、後に意外な方向へと進展する事になっていくのだった。




彼女達は眞樹に催眠術をかけられ、操られていただけだった。

石川真由美も同じだった。

ただ赤坂奈津美だけは違っていた。
彼女は本気で眞樹を愛していた。