そして……
代理母となるべき人の面接が行われた。


名前はマリア・ローズ、二十歳。
黒人のアメリカンだった。


一馬はほくそ笑んだ。
第二のマリアの本名もマリアだと言う事実に。


どうせ神を冒涜するなら、徹底的に遣ろう。

肌の色が違う女性が日本人の遺伝子を持つ子供が作れるのか?


超天才児を誕生させられるか否かという賭けに、一馬は教団の未来を託したのだった。




 自らを宇宙人だと言っていた一馬。
それなら徹底的に遣ってやろう。
宇宙人の攻撃を防ぐために、宇宙人を沢山用意しよう。

それが、養護施設設立の軸だった。
真実とは、明らかに意見の相違はあったのだ。


それはマスコミが叩いたオカルト教団へのステップ。
それになりかねないやり方だったのだ。


でもそれは表向き。
一馬の真意は他にあったのだ。
でも一馬にさえ、それは理解し難いことだったようだ。


一馬はもう……
その時はどうでもよくなっていたのだ。

マスコミ対応に明け暮れる日々に嫌気がさしていたのだった。


一馬はオカルト教団への階段を着実に登っていたのだった。


一馬は真実と一緒に面接をして、マリア・ローズが一目で気に入った。
だから即決したのだった。




 第二のマリアに選ばれたマリア・ローズ……
確かに彼女は氷室博士の教え子だった。
面接に来たのも……
彼女だった。


でも産婦人科に現れたのは彼女ではなかった。

若林結子だったのだ。


でも真実は知らずにいた。

体外受精卵を実際に移植されるのが愛する女性・若林結子である事を。


目にカラーコンタクト。

髪はカラーリング。

全ての肌を黒く塗った若林結子だと言う事に……




真実は全く気付かず……


その儀式を執り行ったのだった。




 産婦人科の医師も知らされずにいた。


だから……
マリア・ローズの、彼女自身の受精卵だと信じて疑わなかったのだ。


そして彼の元で……
佐伯真実立ち会いの元で、でその神に恥じる行為は行われたのだった。




一馬は儀式にこだわった。

どうせやるなら、キリストにならって受胎告知を遣ろうと。


身も心も乙女であるマリアに、大天使ガブリエルが告げたとされる受胎。

天使に代わり……

御自ら……

一馬は自分自身が神であるかのような錯覚に陥っていたのだった。