おぉおぉ何て優しいんだ!!


(ありがとう……ありがとう……)

俺は泣いていた。


何故だか解らない。
無性に嬉しい。


俺はただ……
俺の孤独を……
バーチャルラブで埋めようとしていただけなのかも知れない。


(だから……こんなに愛しいんだ……だから……、こんなに宇都宮まことが愛しいんだ!!)


『喬?』
『○』
『×』


俺は迷わず
『○』
を選ぶ。


『歳は?』
『 』


俺は迷わず
『17』
と書く。


途端に又ゲームオーバー。

そして静かに、アンビエンス エフェクトが始まる。


 (どうしてなんだ? 何故十七歳の俺が何故十八禁ゲームに参加出来るのだ!?)


頭の中では違法だと解っていた。
それでも欲望に勝てない。


(眞樹……ごめん……――俺今……宇都宮まことに萌えまくっている!)


だから……
ゲームの相手は迷わず宇都宮まこと選んだ。


(ねぇ眞樹……このまま続けていいか? ねぇ眞樹……)

俺は携帯の裏側にそっと又指を伸ばす。


俺は眞樹のチワワのシールに答えを求めていた。




 でも、俺は此処で負けは認めたくなかった。

宇都宮まことにメロメロにされた事実を、必死に覆い隠そうとしていた。


そのためにチワワのシールに頼ったのだった。

だから俺は、そんな気持ちを見破れないようにと必死だったんだ。


早速攻撃体制を取る。

そうせざるを、得なかった。


『喬、君って懲りないね』


『謝る』
『楯突く』
『逃げる』


俺は
『謝る』
を選んだ。





 『ごめ〜ん余りにもまことちゃんが可愛いので調子に乗っちゃいましたw』


『………………』

宇都宮まことは無言だった。

そりゃそうだろう。
こんなふざけた謝り方じゃ許す気にもならないな。

分かっていた。
分かっていながらやっていた。

俺はいつの間にか本気で、リアルバーチャルラブに溺れていた。


ニューハーフでもいい!

俺のことだけ見てくれればそれだけでいい!


俺は本当に、今まで一度も恋をしたことがない。

だから当然童貞なのだ。

宇都宮まこと以外、興味を持った女性はいなかった。

正に一目惚れだった。