『エラーが発生しました』

携帯の画面は相変わらずそのままで……
俺も何故か屋上で……
宇都宮まことけを待ち望んでいた。


『ねえ』


(キター!!)

俺は思わずガッツポーズを取った!

待ちに待った瞬間だった。


『此処がどうして出入り禁止になったか知ってる』


『知ってる』
『知らない』
『理由を知りたい』


『理由を知りたい』
をプッシュ。

前々から疑問だった。


『女生徒がイジメられて此処から飛び降りて自殺したことがあったの』


(やっぱし)

薄々は気付いていた。
でも怖くて先生には聞けなかった。




 『喬落ちて』


『従う』
『逃げる』

此処はひとまず逃げるが勝ちってとこで……


『逃げる』
をプッシュ。

全速力でドアにダッシュ!


ところが鍵が掛かっていてドアが開かない!

俺の全身から血の気が引いた。


目の前には宇都宮まことが迫っていた。


(ヤバい! 本当に落とされる)

俺はたまらず腰を抜かしていた。

高所恐怖症の俺にこんな残酷な攻めはない。

でも俺は宇都宮まことを受け入れざるを得なかった。


宇都宮まことのボディが腰を抜かした俺に接近する。

体と心が又反応する!

恐怖心でいっぱいなのに、燃え上がった!


俺の手は、宇都宮まことの腰に勝手に回しボディを密着させようとする。


『駄目でしょう童貞君』

いきなりのカウンターパンチだった。




 それでも恐怖心で凝り固まった自分の言うことなんか手は聞かない!

今度は体を触りだした。

俺の顔は引きつったまま、宇都宮まことを見詰めた。


宇都宮まことは……
其処に居た。


何故だか解らないけど……


俺の目の前に居た……


立体映像なのか?


此処に居ない筈の……
携帯の画面から抜け出たような……
そんな感じだった。




 『辞めろって言ってんだ』

俺は暫く呆気に取られた。

『だから辞めろって言ってんだよ!』

それは画面表示ではなく、リアルな男性の声だった。

宇都宮まことが本性を剥き出しにした。

最初に俺が睨んだ通りだった。

宇都宮まことはニューハーフだったのか?