マリア・マグダレナ……
所謂マクダラのマリアと呼ばれている人だった。
まことも第二のマリアだったのだ。

いや……
望月一馬の言った救世主が本当のことだったら、宇都宮まことは俺の運命の人だ。

まことが本当の第二のマリアだったのだ。


マクダラのマリアは様々な説のある人だった。
キリストの奥さんだと解釈する人もいる位、身近な女性だった。


最後の晩餐で、キリストとマクダラのマリアの間に子供の姿が隠されていたらしい。
だから、二人の間には子供がいる。
そう結論付けた研究者もいた。


受胎告知で稲妻を受けてキリストを宿した聖処女マリア。
そんな神の子が、女性との間に子供を作る。
信じられない話だった。
その女性がマリア・マグダレナ、所謂マクダラのマリアだったのだ。


まことはマクダラのマリアだったのだ。


証拠は沢山あると一馬は言った。
マクダラのマリアは悪魔に魅入られ身を持ち崩していたところでキリストに助けられた。
だから、それを恩に感じ同行したのだ。


有事対策頭脳集団の幹部候補生達の実験材料として灰人にされたまこと。
そのまことを必死に助けた俺。

それはまさに奇跡の出逢いだったのだ。

マリア・マグダレナはキリストの処刑が決まっても決して傍を離れなかった。
だから復活したキリストから声を掛けられるまで泣きあかしていたのだった。


「それじゃあ、俺とまことは?」


「私が認めた夫婦だ。こう見えても私は牧師の資格を持っている。誰が何を言おうが、二人は正式な夫婦だ」

一馬はきっぱりと言い切った。




 「だから、マリーは君をずっと見守っていたんだ。君達は、前世から苦労を共にしてきた同士だったんだ」

そう言った後、一馬はもう一度跪いた。


「眞樹のために教団のトップになってくれないか」


(眞樹のため!?)
信じがたい言葉だった。


俺は一馬の真意を知りたくて、無意識のうちに一馬にインしていた。


眞樹は一馬に時期主席として俺を推薦していたのだった。


目の前で跪いている望月一馬。

その時俺は見た。
再度、一馬のオーラを。


それは荘厳で、雄大で、何時か見た大天使のそれに似ていた。