動物にも血液型はある。
彼等は眞樹の血液型を研究して、最も適合する動物の血を用意した。
それを遠心分離機にかけて血液製剤作り、予め用意していたのだった。

それは普通の輸血用血液と見た目を同じにしておいたのだ。




 眞樹が衝動的に手首を切った時、若林結子は自殺未遂を起こしたと思ったはずだ。
だから佐伯真実に極秘に連絡したのだと思う。


佐伯真実はすぐに処置したのではないのだろうか?


だから輸血用の血液製剤が動物の血から出来た物だと知らずに眞樹に投与してしまったのだ。


もがき苦しむ眞樹。
それを、怪我による出血のせいだと真実は思ったのだ。


眞樹は七転八倒しながら耐えた。
それが何かも知らずに自分の血液と融合させてしまったのだった。


サタンとの契約。
日本一の頭脳と、俺を抹殺するための知恵。


(きっと眞樹も覚醒の契りを結んだのだ)
俺はそう感じた。


手首を切り刻み、血を汚す。
その後遺症に悩まされながらも又手首を切る。
そして再度トマトジュースに血を注いだのだった。

眞樹は何時しか、輸血の苦しみが快感になっていたのだった。
麻薬にも似たエクスタシーに眞樹は虜になってしまっていたのだった。


俺との駆け引きも忘れ、その時だけ全てから解放されるからだった。


そんな眞樹へ彼等は贈り物をした。
それがあの人工皮膚だったのだ。
それは、自分達の悪事の発覚を恐れた悪知恵だった。


眞樹はそれでも、望月一馬に愛されたいがために猛勉強をする。

そして全国トップの栄冠を手に入れたのだった。


俺はその事実を赤坂奈津美の頭脳に入って知った。

その時、眞樹の体験した恐怖を知ったのだ。




 眞樹は若い幹部候補生達の陰謀によって、その血を汚されていた。
眞樹はきっと苦しかったのだ。
だからリストカットをしてしまったのだろう。

その現場を彼等の見られてしまったのではないのだろうか?
だから彼等は動物の血から血液製剤を作り出す実験を始めたのではないのだろうか?