ことの始まりは……
俺だった。
場所は若林結子の施錠された部屋。
『ママー、ママー』
俺が突然、その部屋に入って来た。
若林結子の慌てぶりから、眞樹は何かを感じた。
俺は母に抱かれた眞樹を見て自分が抱かれているものだと思って癒された時。
眞樹は俺に殺意を抱いたんだ。
眞樹は俺同様、若林結子を本当の母だと思っていたのだ。
だから苦しんだんだ。
俺に取られると思って苦しんだんだ。
父に甘えたくても、一馬は主席。
近寄れなかった。
だから、母だと思っていた結子を独占した。
それでも満たされない眞樹だった。
そんな時に現れた俺。
眞樹はただ震えることしか出来なかった。
結子を帰さなくすることしか出来なかったのだ。
だからその日から、俺はもっと孤独になったんだ。
ある夏の日。
眞樹は若林結子を探してリビングに続くドアを開けてしまった。
其処で眞樹は見てしまったのだ、俺のために食事の支度をする若林結子を。
結子を手に入れるために眞樹は自傷した。
いや、偶然だったのかも知れない。
眞樹は結子が俺を起こしに行った隙に果物ナイフで遊んでいた。
きっとその時、眞樹の血がトマトジュースに入り込んだんだ。
戻って来た結子が見つけたのは、流れ血を呆然と見ていた眞樹の姿だった。
結子は、自分を離したくなくて傷を付けたと思ったようだった。
有事対策頭脳集団の主席・望月一馬の後継者としての眞樹の精神状態を正常に保つために、結子は邁進するしかなかったのだった。
眞樹は母を傍に居させるために自らを傷付ける。
そしてその血をトマトジュースへと注ぐ。
俺はそれと知らずに血液入りジュースを飲み続けていたのだ。
俺は眞樹を哀れんだ。
でもそれが眞樹を苛立たせることを承知している。
だから、何も言わないことに決めた。
でも今度はそれが眞樹を立腹させた。
俺にはもう手がなかった。
まさにお手上げ状態だったのだ。
眞樹のイライラが俺に届いた。
眞樹は俺の何に怒っているんだ?
俺を孤独にさせておいて。
俺から母を奪っておいて。
俺を殺そうとしておいて。
その上何が望みなんだ。
俺だった。
場所は若林結子の施錠された部屋。
『ママー、ママー』
俺が突然、その部屋に入って来た。
若林結子の慌てぶりから、眞樹は何かを感じた。
俺は母に抱かれた眞樹を見て自分が抱かれているものだと思って癒された時。
眞樹は俺に殺意を抱いたんだ。
眞樹は俺同様、若林結子を本当の母だと思っていたのだ。
だから苦しんだんだ。
俺に取られると思って苦しんだんだ。
父に甘えたくても、一馬は主席。
近寄れなかった。
だから、母だと思っていた結子を独占した。
それでも満たされない眞樹だった。
そんな時に現れた俺。
眞樹はただ震えることしか出来なかった。
結子を帰さなくすることしか出来なかったのだ。
だからその日から、俺はもっと孤独になったんだ。
ある夏の日。
眞樹は若林結子を探してリビングに続くドアを開けてしまった。
其処で眞樹は見てしまったのだ、俺のために食事の支度をする若林結子を。
結子を手に入れるために眞樹は自傷した。
いや、偶然だったのかも知れない。
眞樹は結子が俺を起こしに行った隙に果物ナイフで遊んでいた。
きっとその時、眞樹の血がトマトジュースに入り込んだんだ。
戻って来た結子が見つけたのは、流れ血を呆然と見ていた眞樹の姿だった。
結子は、自分を離したくなくて傷を付けたと思ったようだった。
有事対策頭脳集団の主席・望月一馬の後継者としての眞樹の精神状態を正常に保つために、結子は邁進するしかなかったのだった。
眞樹は母を傍に居させるために自らを傷付ける。
そしてその血をトマトジュースへと注ぐ。
俺はそれと知らずに血液入りジュースを飲み続けていたのだ。
俺は眞樹を哀れんだ。
でもそれが眞樹を苛立たせることを承知している。
だから、何も言わないことに決めた。
でも今度はそれが眞樹を立腹させた。
俺にはもう手がなかった。
まさにお手上げ状態だったのだ。
眞樹のイライラが俺に届いた。
眞樹は俺の何に怒っているんだ?
俺を孤独にさせておいて。
俺から母を奪っておいて。
俺を殺そうとしておいて。
その上何が望みなんだ。


