「ママ〜、どこ〜? ママ〜、ママ〜」

それでも俺はまだ……
又あの夢を繰り返していた。




 「ママー、どこー? ねえー、ママー? ママーどこー?」


白い……
どこまでも果てしなく続く白い世界の中で俺はもがいていた。


母がいないんだ……

さっき帰ってきたはずの母がいないんだ。


どこにもいないんだ。


また……
独りぼっちにされちゃった。


寂しい……
気が狂いそうなくらい寂しい。


「ママーー!! ねぇ、ママーー!! ママーーどこー!?」

がっくりと膝を付き……
俺は崩れ落ちる。


寂しさに……
苦しさに耐えきれなくなって、俺はとうとう爆発していた。


でも……
こには誰もいない……


誰も助けになんか来てもくれない。


俺の泣き声だけが渦巻いている。


この白い世界の中で……




 宇都宮まことが癒してくれたはずの孤独……
俺はまだそれを引き摺っていた。


目を覚ますと、心配そうな妻がベッドの横で覗き込んでいる。

俺はそんな妻の身体を引き寄せキスをする。

宇都宮まこと……

いや若林まこと。

この愛しい妻に俺の一生を捧げる。


この先何が俺達を待っているのか解らない。

でもどんなことがあっても、俺は必ず妻を守り抜く。

俺を信じて……

俺に勇気をくれる……

愛しい妻を……


俺は一生、眞樹に付け狙われる。

妻も同様だ。

教団のことを知りすぎた二人を抹殺する位きっと容易いだろう。

でも俺は逃げない。

全力でオカルト教団と戦う 。


それがそれぞれの平和に繋ががると信じているから。

俺はまだ……

オカルト教団は存続していると思っている。

だから……


俺は今日も自分の全てをさらけ出して、愛する妻の絵を描き続ける。

でもその絵は母の絵になる……

妻はそれに気付きながら、二人の母よりも大きな愛で俺を包んでくれている。

そう、まるで……

聖母マリアのように……