子供の頃、不思議だったんだ。
俺の枕元にあったプレゼントが……

きっとサンタクロースが……
そう思って喜んだ。
あの白い部屋の天井のトップライトから……
本気でそう思っていた。


でもそれは母からだったようだ。
やはり俺を愛してくれていたようだ。
他人の子供を子宮を貸しているうちに……
本当は真実のために……
愛する人の実験のために、結子は代理母から本当の母へと変わって行ったのだった。


結子は真実が実験の本当の志望者だと思っていたのだった。
医学博士だった真実。
アメリカで既に認められている代理母の研究を望んだとしてもおかしくはない。
そう思い込んでいたのだった。




 そしてクリスマス。
この日は俺の誕生日。
やっと十八歳になる。
結婚出来るんだよ、宇都宮まことと。
ああ……
この日をどんなに待ち望んだことだろう。

俺の全身全霊で守り抜きたいと思っている人と、遂にゴールイン出来る。
嬉しくて堪らない。
朝から口元は緩みっ放しなのだ。


俺は多分……
いや、絶対。

日本での法律上、最も若い花婿だ。

実は婚姻届けは今朝早く深夜でも受け付けてくれる窓口に提出していたのだ。
だから間違いないと思うんだ。


俺はまだ、生身の女性を知らない。
あの日のままだった。
だからどんなにかこの日を待ち望んだことだろう。
今、俺の胸は張り裂けんばかりに宇都宮まことを欲していた。


そうこの日。
俺はやっとチェリーを捨てられんだ。
だから頭の中は妄想大爆発状態だった。


俺は我慢出来ずに、個展用に準備した大カンバスの前にいた。
俺の手に未だに残る宇都宮まことの感覚。
胸の脹らみ……
それだけを頼りにその手で描いてみようとしていた。


でも俺は頭を振る。
いくら描こうとしても、体が芯から萌えていた。

宇都宮まことに逢いたいと心が叫んでいた。




 その頃。
宇都宮まことは施錠された母の部屋にいた。
花嫁衣装を身に纏うためだった。
俺は待ちきれなくて、ただイライラしているだけのお子ちゃまに過ぎなかったのだ。