あの日……
受胎告知の日に真実を追いかけたのは、本当は愛しい人に辛い思いをさせたくなかったからだった。

その事実を今真実は知る。


それは今だからこそ結ばれる、本当の愛の姿だった。


俺は泣いていた。
宇都宮まことも泣いていた。
祖母も、宇都宮まことの手を取り泣いていた。


「私達の式は良いの。だって私はこの祭壇の前で誓いの言葉を捧げたから」


「俺達は施設で、この二人にそだてられたんだ。だから、本当の夫婦になってもらいたかった……」


「お祖母ちゃん、騙してごめんなさい」
宇都宮まことは祖母を見つめて泣いていた。




 若林結子と佐伯真実。
二人は夫婦となった。


部屋は……

施錠していた母の……


其処で良いと言う。


勿論。
望月一馬と眞樹も納得してくれた。


でもそのことによって、望月一馬が俺の存在に知ったようだった。


俺と宇都宮まことは又一緒に暮らすことになった。

下階の母と上階の俺の部屋。
それぞれに、あの二段ベッドの片割れが運び込まれる。


俺の部屋から孤独が消えてなくなるはずだ。

そう……
そのための結婚式を後は待つだけとなった。