「ぐえっ」


頭部を強打した健介君は、あっさりと気を失いました。とどめをさしてしまったようです。


「えええええええええっ!!!」


会場が、観客の悲鳴と怒号に包まれました。
私はおろおろしました。


「てめえ、うちの若に何さらしとんじゃコラァァァっ!!」
観客席にいた、空手着を着た筋肉ムキムキの男達が十人、怒鳴り声をあげながら立ち上がりました。どうやら代々木流空手道場の人達のようです。リングに向かって走ってきます。


「何だやんのかっ!?コラァァァッ!!」
リングサイドにいた、黒パンツ一丁の筋肉ムキムキの男達が十人、迎え撃ちました。うちのレスラー達です。


乱闘が、始まりました。
会場は、阿鼻叫喚のルツボとなりました。








その日の乱闘をきっかけに、南斗プロレスと、代々木流空手との、長い長い抗争が始まりました。


私と健介君が、お互いの勘違いに気付くのは、もう少しだけ先の話。