すると、彼女の頬が急に紅潮した。


そして両腕で胸をおさえながら、全身を小刻みに震わせ始めた。


何かを必死で我慢しているようだった。うわ言のように、小声で、


「あっ……ダメっ……いまはダメッ……」


と呟いていた。その声がなんだか色っぽかったので、ついドキッとしてしまった。


やはり腹が痛いようだ。どうやら、かなり限界らしい。
俺は、トイレに行くかい?と話しかけようとして口を開いた。


その時だ。


「健介ッ、死ねやコラァァァッ!!」


南斗さんは、そう叫ぶと同時に、空手では見たことのない、奇妙な形の飛び蹴りを放った。


しまった!やはりあの手紙は果たし状で彼女は俺に喧嘩を売っていたのか美少女だから油断した最近の女子高生はなんて大胆なんだしかしなんてことだこの俺がまったく殺気を感じとることができなかったとはブバァァッ!!


蹴りを喰らうまでの一瞬で、俺はこれだけのことを考えた。
しかし、蹴りが当たった瞬間、さらなる衝撃が俺を襲った。