ああ、そうだ。



いた。



俺の強さを喜んでくれるひとが、ここにいた。



南斗さん。


南斗晶さん。


彼女との修行の日々は、楽しかった。


何度もプロレス技を受けて痛かったけど、彼女と一緒にいるだけで、心が満たされてゆくのを感じた。


俺が、南斗さんの技をうまくかわしてみせると、彼女は輝くような笑顔を見せてくれた。


それを見て、俺は、胸が熱くなった。


空手をやっていてよかったと思えた。自分の強さを誇りに思うことができた。心に開いた大きな穴が、埋まるのを感じた。





……そうか。





ようやく、自分の気持ちに気付くことができた。