「この子、巨大食道症だよ」
……きょだいしょくどーしょー?
何だそりゃ。
「レントゲンを見てもわかる通り、マールくんは通常よりも食道が大きい」
「はあ」
「大きく広がった食道がもたれている。ここに食べたものが溜まって、胃まで辿り着かない。吐き出してしまうんだ」
先生の顔と口調からして、まずいことになっているんだろう。
なっているんだろう、けど。
「……すみません良くわかりません」
俺は頭が悪いから、口頭で言われても理解し難かった。
レントゲンも、まず普通がわからないからマールのどこが異常なのかわからない。
自分のバカさ加減にほとほと呆れながら、先生に再度「すみません」と謝った。
申し訳無さが募ってくる。
くそ、こんなんなら俺じゃなくて直己を診察室に来させれば良かった。
