うん、聞かなかった事にしよう
『ねぇあれ』
菜織の視線を追うと、
『だっりー』
『マジ疲れた〜』
『サボんない?』
夏海たちのグループが絶賛サボり中
『その間に力つけちゃお?』
「うん」
『だね』
見取り稽古も終わり、
「さて、掃除だ掃除‼」
部活のあとは、なるべく急いで武道館の雑巾掛け‼
『ほんとに好きだね、掃除』
「まあ、仁美が海龍くんを好きな程じゃないけど?」
それに…
『男子って何で更衣室の外できがえっかな?』
『いいじゃん!海龍の腹筋見れんだし』
そう、それが目当て
女子更衣室と男子更衣室は隣
どちらも武道館の中にある
でも狭いからか男子は外で着替える
いつまでも着替えてたら
男子は着替え終わってしまう
なんて、見たことないんだけど?
「変態発言終了‼ほら、雑巾掛け‼」
『へいへーい』

女子の区域はいつも男子より先に終わる
主に私たち3人によって
なのに…
『男子おっそーい‼』
『悪りぃって』
でた…
夏海が如月君と仲のいい海龍くんに絡んでいる
しかも如月君も近い‼
『しょーがないなー‼手伝ったげる』
『おお、サンキュ』
ぬ、ぬぅあぬ〜!?
『コラ‼男子手伝う余裕あんなら女子のとこもやってよね‼』
ナイス菜織‼
『だって〜、終わったじゃん』
そう来たか
『じゃあ明日からちゃんとやってよね』
『はぁ!?いつもやってっし‼』
『ほとんど私らでやってんだけどぉ⁇
あんた今日1本もしてないでしょ?』
『うぅ…紹也ぁ‼菜織がいじめてくる‼』
う‼いじめてくるぅ?
しかも呼び捨て…
『は?知らねー』
『ひっどぉ〜‼』
『……』
何と無く、ほっとしました…
菜織が帰ってきた
「ナイス菜織‼」
『おん‼ちょろいもんよ』
頼りにしてます‼
『あいつ、海龍にベタベタと…しばく‼絶対しばく‼』
それ私の口癖…
『何かうちも嫌いになってきた‼前から好きじゃないけど‼』
『遅いっつの』
仁美に敵認定されてしまった…
可哀想な夏海。今だけ同情するよ