「じゃあ、まず金山。入って」
「はい。失礼します」
紅葉がドアを閉めて、中の声は聞こえなくなった。
「じゃあ、………ップスラーと……」
たまに、途切れとぎれ先生の声が聞こえてくる。
しばらくすると、
ボー、ボー、ボーーーー、
紅葉の音。
私とは違って、紅葉は高い音が得意。
人には違う良いとこがあるんだな…
今まで、じっくり紅葉の音を聞いたことはなかったから、いろいろなことが今、見えてくる。
あ、今の音キレイ。
今、失敗したな。
紅葉の音って可愛いな…
ガラッ。
「優亜のばん」
紅葉が手を出す。
私は、それにパシッと軽くハイタッチして、教室をノックした。
「―――失礼します」
「次は田中か、座っていい」
「よろしくお願いします」
「ん。じゃ、ロングトーン。ベーで」
「はい」
紅葉は、教室の外で、優亜の音を聞いていた。
優亜は、低い音が得意だよね。うちは高い方が得意だから、バランスいいね。
優亜の音、クールだなぁ。やっぱり、性格でるのかな?
コンクール、どっちが出ても恨みっこなしだよ。
私は、出来る限りをやったから―――
――――負けない。
「お疲れ」
私がドアを開けると、紅葉が待っていた。
「待っててくれたの?」
「まぁね」
「ありがと」
「いいえ?」
「…てゆーか、先生の座ってる椅子に吹きそうになったww」
「あ、うちもうちも!!どんだけボロいんだよってww」
「ねー、机もやたらミシミシいってるしさぁww」
「うんうん!!しかも先生気にしてなかったし」
「あれはヤバかったねー!!」
「…」
「…あー、コンクール、受かると…いいね」
「…うん」
急に沈黙。
気まずくなってしまった…
紅葉は、うまくいったのだろうか…
「どうだった?」
紅葉が聞いてきた。
あまり良くなかったと言いたかった、
でも。。。
「まあまあかな。紅葉は?」
「うちはけっこー上出来」
いつもの笑顔で笑って見せる。
いつみても可愛い。
「どっちが受かっても、陰口なしだよ」
―――受かるのは、紅葉だよ、
「落ちても、D部あるからいいやって気、してきた。鈴木先生だし」
―――――――受かるのは紅葉だよ!!!!
