優恋*プレリュード改

「それに?」
私が聞き返すと、仲村くんは、

「さっきの話、何だったの?…オーディション?」

「そう」


話をそらしてきたね。

言いたくないの?


「…、………」


何かいいかけてるし。


「…、頑張ってね」

え、

「…あ、ありがと」


「…俺は、金山さんより田中さんを応援してる」


少し、顔が赤いかもしれない。

男子にこんなふうに言われるの、初めて…


「一緒にA部出れるといいね」

「…」

「田中さん?」

「いや、何でもない。…そ うだね。一緒に…」


「どうしたの?」


え?


何故か、涙が。


「D部でもいいの?」


仲村くんは天才なの?

何で分かるんだろう…


「…うん」

「金山さんが本気だから、自分に恥ずかしくなった?」

「…うん」

「恥ずかしくなったのは、………D部でも良かったからオーディションなんて別に、っていう逃げ道を作ってるから?」



そうか。



だから、悔しかったんだ。


だから私は…






仲村くんは、私が思ってることをすぐに見抜いた。


私が考えがいかなかったところまで、分かってた。


「――仲村くんは、いい人だね」


「そんなことない」

「いい人だよ」

「違う」

「いい人」
「違う」
「いい人」
「違う」
「ありがとう」


「…え」



「何でありがとうなの?」

「秘密」


「えー!?」



「ほら、帰ろ?もう6時半になる」


「ああ」



「じゃ。また明日」


「うん。バイバイ」





私は、日和のもとへ走った。