private lover ~大好きな人の前で他の人に愛を誓う時~

 もとはどれくらい入ってたのか分からないけど、鷹槻さんの言った通り、

 寿は無茶してたらしい。

 中身が三分の一くらいしか残ってない。


 「起きてよ……」


 横たわる寿の近くにしゃがみ、身体を揺すっていたら、

 かったるそうにゴロゴロ目が動いて、ちょっとずつ、まぶたが持ち上がってきた。


 「お……前……」


 顔をしかめながら、寿は上体を起こそうと、ヒジを床につく。


 「あったま痛ぇ……」

 「飲み過ぎだよ」

 「っるっせぇな」


 やっと身体を起こすと深いため息を吐いた寿は口元を抑える。


 「ちょっと我慢!」


 私は慌ててキッチンに行って、いろいろ戸棚を開けるけど……

 ない! ドコ!!

 ガッチャンガッチャン音を立てながらやっと見つけたボールを持って戻ると寿がいない。

 代わりにどこからか嘔吐するときの音が聞こえてきた。

 バスルーム?

 行ってみると、バスルームの近くにあったトイレで寿は胃の内容物を吐き出していた。

 陶器に手を着いて苦しそうに肩で息をしながら、うつむいている。

 ボールを置いてから背中をさすってあげようと思ったら、

 寿はすぐに嘔吐し始めたから、持ったまま始めることにした。

 酸っぱいニオイとウイスキーの芳香が混ざって、胸が悪くなる。

 だけど寿がずっと苦しそうに、気持ち悪そうにしてるから、

 私はボールを置くこともせずに、ただ背中をさすってあげていた。

 寿、何があったの?

 荒い息をしながら手を伸ばして水を流そうとする手が、

 あまりにも頼りなくて、私は先回りして取っ手を動かした。

 苦しい息づかいの中に水音が混じると、寿の手からは力が抜けて、一気に落下する。

 下の大理石に着いた膝を上げ、足の裏だけを下に着くと、

 前傾姿勢のまま立ち上がろうとする寿。

 私はボールを置き、寿の右腕を自分の首にかけて肩を支えてあげようとしたら、

 腕がするっと首の後ろから消えた。


 「邪魔……」


 覇気のない声でそんなこと言われたって、腹なんか立たないよ。