private lover ~大好きな人の前で他の人に愛を誓う時~

 寿が暮らすホテルまで行くと、鷹槻さんはエグゼクティブ・ラウンジとかいう、

 普通のお客さんは入れないような場所に連れて行ってくれた。

 ホテルそのものでさえ豪華なつくりだと思ってたのに、

 ここはシャンデリアから家具から何から、一階のフロントとまるで違う。

 スイートに泊まったりするお得意様は、そこでいつも入室の手続きをしたりするらしい。

 ボーイさんに飲み物を勧められたけど、私は断った。


 「岡崎様、ここより先に、わたくしは行くことができません」


 ラウンジで鷹槻さんに説明を受けて、カギをわたされた。

 軽くて薄い、ICチップのキーらしい。

 エレベーターが開くとエレベーターガールが乗っている。

 全然、世界が違う。

 本当に私、役に立てるの?

 行ってみて何もできない、じゃまだしも、

 もっと落ち込ませちゃったりしたら、どうしよう……

 不安なんか全く感知してくれないエレベーターは、

 どこにも止まらず私をペントハウスの階まで連れて行ってくれた。

 私は深呼吸して、インターホンのボタンを押した。

 誰も出なかったら、カギで入る。

 不法侵入になるかもしれないけど、もしかしたら寿が無茶してるかもしれないから。

 あとで私が困らないように鷹槻さんが寿のおじいさんとかにも話しを通して、

 ちゃんと責任取るから心配ないって言ってくれた。

 インターホンから反応はない。

 私はカギを使って部屋の中に入った。

 扉を押し開けるとパッと電気がついて、え――――――




 「こっ寿っ!!」




 すぐそこの床に倒れてる寿に駆け寄った。

 いつから倒れてるのっ?

 ヤバイ救急車っ!?


 「寿しっかりして! 大丈夫っ?」


 必死に呼びかけ、身体を揺する……

 大丈夫? 息してる?


 「んっ……」


 寿の口から音が漏れて、そこで私はやっと安心する。

 ため息を吐きこぼしながら周りを見たら、割れたグラスに、こぼれた液体。

 立ちこめるウイスキーの香り。

 テーブルの上にはウイスキーのものらしい透明の瓶が置かれていた。