カラッと晴れ上がった青空に真っ白な入道雲。

 お世辞にも澄んでるとは言えなくて、コバルトブルーに

 少し白を混ぜてべた塗りしたような、つくりものめいた空。

 山間から顔を出す入道雲はむくむくしてて、浮いてるように見えるけど、

 他のは空にベッタリ貼りつくいてるような感じ。

 今日は、うちわ代わりの下敷きが手放せないほど。

 だけど学校嫌いで世界的に有名なカメハメハ大王の子どもだって、

 今日は登校してるはずだよ?

 ギラギラ照りつける太陽が寿の欠席を容赦したなんて思えない。

 どうしたんだろう。

 昨日あんな電話したから、ちょっと……実は結構気になる。


 『そうか? 好き同士だったら恋人だろ?』


 寿は私をからかうようにそう言ってたけど……


 『不器用なこと言ってると損するぞ?』


 寿…………本心なの?


 「ミッキー元気ないね。どうしたの?」


 奈々が心配そうに私の顔をのぞき込む。


 「なっ何でもないよ」


 近くに奈々が来てたこと、気づかなかった。


 「何かあったら言ってね? ウチ、力になるよ」

 「うん、ありがと」


 笑いながら答えたけど、奈々―――――

 奈々には、何も相談、できないや……

 忘れてたわけじゃない。

 奈々の姿を見たら星哉のこと思い出して………


 「ちょっとトイレ行ってくるね」

 「うん」


 教室にいたくなくなった。

 奈々がいるのに星哉のこと見るのはおかしいし、きっと、見たらもっと悲しくなる。




 寿、どうして学校来ないんだろう。

 私は強引に思考を他の方向に変えた。

 ときどき星哉と奈々が頭の中にちょっかいを出してきたけど全部無視して、

 私は寿のことを考える。


 『タイムアウトこそ有益に遣わないと、俺は勝負に負けそうだ』


 弱々しい寿の声が頭の中をグルグル回りだす。

 ウソもハッタリも効かなくなって、昨日何かあって、それで今日学校来ないのかな。

 もしかしたら遅刻して来るかもしれない。

 そう思って時間が過ぎるのを待ったけど、放課後まで寿は来なかった。