グランドにでると、サッカーの試合は終盤を迎えていた。

工学系研究科と化学系研究科の試合らしく、由莉の恋人の竹中 健が所属する工学が2点リードで勝っていた。

とにかくギャラリーはすごい人でごった返していた。
というのも、工学研究科はイケメンが多いと言われてるサッカーサークルのメンツが多く、中でもキャプテンの壮介も試合に出ていたからだ。

容姿端麗で頭も良かった壮介は、サッカーサークルのキャプテンでもあり、学部の頃から女性に人気だったので、香穂も名前は知っていたが、実際彼を見たのは初めてだった。

「健ちゃん頑張れー‼」

由莉が健を応援してる間、香穂は壮介から目が離せなかった。

壮介は本当に楽しそうにサッカーをしていて、それが香穂には羨ましくもあり、輝いてみえた。

あんな風に、好きなことできたら幸せだろうなー。

そんな事を考えていたら、由莉のニヤニヤ顏に気づくのが遅れた。

「香穂も、藤原君が気になる?」

「そ、そんなんじゃないって。ただ、楽しそうにサッカーする人だなって思っただけ。」

「そういう事にしといてあげる!あっ、試合終わったから健ちゃんのとこ行こうよ。」

そう言って由莉は香穂をズルズル引っ張って行った。