あれは中1の夏休み、町の夏祭りに
あたしの家族と翔ちゃん、悠ちゃんの家族で
行った時のことだった。


いまでもしっかり覚えている。
忘れたくても夏が来るたび思い出すんだ。


「翔ちゃん!悠ちゃん!待ってよ~」

走る悠ちゃんと翔ちゃんを
あたしは必死で追いかけた。

「時雨おっせぇ」

遠くであたしを呼ぶ声

「悠ちゃんたちが走ってるからでしょ~!」

「もっとゆっくり歩こっかぁ!な?悠。」

「はいはい」

そう言って二人は浴衣であまり早く
歩けないあたしのペースに合わせて
歩いてくれた。

「翔ちゃんありがとっ!」

「うん」


「あっ!りんごあめ!!!」



「買いに行こうぜ!」



大好きなりんごあめを見つけた
あたしと悠ちゃんは走り出した。


信号をはさんでりんご飴の屋台が
あったから、あたし達は、
信号が赤になる前に渡りきった。
翔ちゃんを置いて。


「しょーちゃーん!はーやーくーっ!!」

「今行く!」


そして信号機は赤から青に変わり翔ちゃんが
あたしたちのに向かって走り出した瞬間、
翔ちゃんの体はふわっと一瞬宙に浮き、
地面に叩きつけられた。



あたしの頭は真っ白になった。