「早いわね。もう十年もたつわ。」

「そうだな…。あいつが死んでから
もうそんな立つのか。」

山の上にあるお墓に向かって
喋る2つの人影。


女は涙を流しながら、
お墓に向かって呟いた。

「あたしがあの事を言わなかったら…。」

そう言って女はその場にへたり込んでしまった。

「おまえのせいじゃない。
あれはあいつの選んだ道だから。
今日は報告があるんだ。な?」


「うん。あたし達結婚するんだ。」

そう言って少し顔を赤らめた

「お前の代わりに助かった俺は、
こんなことする権利はないと思う。
でも、どうしても、こいつを幸せに
したいって思う。いいかな?」


返事をする人はいない。

でも2人は確かに聞いた。

風が温かく2人を包み、
祝福してくれたその声を…

女は再び泣き出し、男は女の
肩を抱き目頭を押さえた。