「由香里、今日の夜ご飯は何がいい?」
「煮込みハンバーグ!お母さん、私も一緒に作っていい?」
お母さんは微笑むと、えぇ、もちろんよ。と言った。
「あ…私のハンバーグちょっと焦げちゃった。また美咲さんに怒られちゃう」
前もオムライスを作ったんだけど失敗しちゃって、美咲さんに酷く怒られたんだっけ……
「ふふ、大丈夫よ。由香里が一生懸命、頑張って作った料理なんだから不味いわけないでしょ」
「本当?」
「お母さんが今まで嘘をついたことがある?」
私は首を横に振った。
確かに、お母さんは今まで嘘をついたことはない。
ただ……
あの事件のせいで、お母さんとお父さんは私の誕生日を祝えなかった。
でもあれは、お母さんたちのせいではない。だから……
「……由香里」
私はハッとなり、また泣いている事に気づいた。
「お母さん、ごめん。ちょっと部屋で休んでくるね」
私はそう言うと、自分の部屋でゆっくり休む事にした。