わかってる


さっきから、触手の数は増えてきている


このままここにいるのは危険だと…わかってる!


「けど、アイツを見捨てるなんて出来るか!」


掴み取れなかったあの手を思い出して


俺は拳を握り締めた


「…とりあえず、俺は行く!」


そう言って、俺は一歩前に出た筈だった


「っ!」


バチィ、と痛々しい音と同時に


腹に走る激痛


「っ、ぁ…。」


「悪く思うな。お前はここで捕まるべきじゃねぇ。」



薄れる意識の中



ニット帽のその言葉が俺に届いた