無意識に出た名前だった
そんな事は有り得ないと、それも分かっていた
けれど、その渚の言葉に、『少女』はクスリと笑う
「海に似て、やっぱり君にも分かるんだね、渚君?」
その言葉に、渚達は動揺を隠せなかった
來は、志穂の中に芽生えていたもう1つの人格
正確に言うなら…志穂に埋め込まれた『始まり』の能力、REIRAの意思
來が現れてから、志穂の時間は止まり、年を取らなくなった
そして、來が学園の理事長として海を中心に世界の危機を救っていた
そんな彼女も、自身の役目を終え、來という意識は消滅
志穂は本来の自分と時間を取り戻し、理事長として役目を引き継いでいった
そのはず…だった
「驚いた?当たり前か。この時代にはもう既に、『私』は存在してないんだもんね。」


