渚の声に俺達も真剣モードに戻る


渚と美憂が合図を送り、ゆっくりと扉を開けた


ギィィィィ、と古い音を立てて開く扉


エントランスに足を踏み入れて辺りを確認するが、本当に誰もいないらしい


「誰もいねぇな。」


「あぁ…。けど、ここで愁達が戦ってたのは間違いねぇみたいだな。」


渚の言う通り


エントランスはかなりめちゃくちゃに破壊されていた


…愁達、どんだけ激しく戦ったんだろう…


手加減くらいしてくれてもいいのに、と密かに思った



「静かに。誰か近づいてくるわ。」


亜末の言葉に、俺達は耳を澄ませる


「…何も聞こえねぇけど。」


「天使は人間より耳が良いんだ。それに感覚も優れてる。亜末の言葉は間違ってねぇと思うぜ?」


俺の疑問に大地が答えてくれた


天使って耳が良いんだ…


そんな事、天使に会った事がない俺や渚達では知りえない事だっただろう


天使と共存していた時代に生きていた大地だからこそ…分かることだ



「渚、美憂!!!」