視界から光が消えると、目の前には破壊された本部の扉があった



…無事に帰ってきたんだな…


あれから、戻ることになった俺達を爺さんが魔法で地上まで送ってくれることになった


久しぶりに使うからしくじるかもしれないと告白された時はビビッたけど…



「静かね。」


「あぁ…。戦いは終わってんのかもな。」


渚と美憂がゆっくり足を進める


その後を追っていた大地は一度、足を止めた


「どうしたの、大地?」亜末が大地の肩をつつく


「いや…ずっと春の目を通して見てた光景をこうやって自分の目で見てるのが何か不思議な感覚でさ。慣れないっていうか…。」



そういえば、ずっと俺を通して見てたって事は大地とずっと一緒にいたって事と一緒だよな?


…ずっとって、いつからだろう…


何か俺…恥ずかしいことしてなかったよな…?


「当たり前でしょ?大地と春は別人なんだから。大地だって一人の人間として…生きていいんだよ?」


少し俯きながら話す亜末の瞳には、うっすらと涙が浮かんでいた


ぎょっ、と俺と大地は顔を見合わせる


「ちょ、何泣かしてんだよ!」


「知らねぇって!!あ、亜末、悪かったから!!もう変なこと言わねぇからさ!!!」