直の提案に、夾と愁は「確かにそうだけど…。」と頭を悩ませた
「その幼馴染みは、古城から突き落とされたんだよな?彼は人間だ。何か奇跡でも起きていない限り、彼は…。」
「古城から落ちた後、彼は生きていた。辺りに充満した障気を中和し、世界を浄化したのは彼だよ。」
來の言葉に、全員が目を丸くする
亜未も知らなかった事実なのか、「えっ…。」と声を漏らした
「当時の世界は障気の毒によって生物が暮らせる環境から程遠かった。君が大樹の1部になって大樹を蘇らせても、滅びる事には変わりなかったと思う。
彼が…自身の能力を使って障気の根源を中和してくれたから、世界は再び再生したんだよ。」
「…そんな。」亜未の声は震えていた
「それから…それから、彼はどうなったんですか!?生きて…生きていたんですよね!?」
突如取り乱した亜未を、愁は咄嗟に抑えた
「落ち着け、取り乱しても意味はない!」
「何で…!?大地なら生きていると信じてた!なのに…そんな、世界を救う位の力なんか使ったら、身体が持つはずない!
私は、風は、大地だけでも平和になった世界で生きて欲しかったのに!!そのために、私は…「亜未!」


