「右だ、春!」


「分かってる!」


夾の指示で俺は右に飛ぶ


さっきまで俺が居た場所に、魔物の鋭い爪が突き刺さっていた



「…'鬼火'!」


瞬間、渚の炎が魔物を包み込む


雄叫びを上げながら、魔物は炎に包まれて消滅していった


「はぁ…やっと終わったか。」


「手間取らせやがって。」


夾と渚は深い溜息をついた




今俺達は、stayの指示で非戦闘員の避難の誘導にあたっている


來が帰ってくるまで、俺達は迂闊に敵に手は出せない


今はただ、來が無事に帰ってくるのを待っているしかなかった


「…大丈夫ですか?」



さっきの魔物に襲われていた女性に手を差し伸べる


「ありがとう。」と女性はフワリと笑った


「危ない所を、ありがとうございます。」



「お礼はいい。それよりあんたも早く避難した方がいいぜ?外なんて彷徨いてたら格好の的だ。」