海
その名前に、少し過剰に反応してしまった
「あ、海っていうのは俺の双子の兄貴なんだけどさ…ムカつく事に、海は何でもこなす奴で。」
ハハッと渚は少し笑った
「アイツは、どんな世界の命運がかかった戦いでも…逃げずに、立ち向かって行ってた。恐怖なんか無くて、まるで当たり前みたいにさ。
俺には、到底真似出来ない。」
渚の声が、少し小さくなった
フードを被っているから、渚の様子なんて分からないけれど
たぶん、悲しんでいる気がする
「…そうなんだ。」
俺、父さんのこういう話って初めて聞いた
そりゃ、能力者だって知ったのは最近だから仕方ないけどさ
おじさんって、普段馬鹿にしてるけど…父さんの事、尊敬していたのかもしれない
『魔物反応アリ。近いわ。』


