それから、梨子とはとても仲良くなった。

今までお互いに話すことを避けていたのが、まるで嘘だったかのように、わたしは梨子を頼るようになり、梨子もまた、1日でも早くわたしが本当の自分を取り戻せるようにと支えてくれた。

しかし、嫉妬深さに変わりはなく、わたしと匡人が話したりすると、不機嫌そうな仕草を見せるのだ。

だから、出来るだけ話すことは最小限にしたいと思うのだが、匡人は「気にするな」と言った。

タケルは相変わらず、わたしに優しく、いつも気遣ってくれる。

部屋が隣同士のため、壁越しにノックをして簡単な会話をしたりもするようになった。

それがワクワクして、楽しくて仕方なかった。

もうすぐ6月が終わる。

この地に来て、まだ2ヶ月しか経っていないのが信じられないくらい、彼らと過ごす時間はわたしにとって大切なものになっていた。