月と太陽

「匡人って図体デカくて、少し乱暴に見えるでしょ?でも、優しく話掛けてくれて、最初は無視しちゃってたわたしにしつこくすることもなかったし、いつの間にか話せるようになってたんだよね」

匡人のことを話す梨子は、とても楽しそうだった。

確かに匡人は、一見乱暴そうに見える。

しかし、その容姿の陰に隠れている優しさにわたしも気付いていた。

それは、匡人が梨子へ接する姿を見ればわかる。

荷作りを終え、パンパンに膨らんだ鞄のチャックを締める。

最後に制服とスクールバッグを持って、これで準備完了だ。

「しずくも、大事にしてもらいなさいよね」

わたしの腕から制服とスクールバッグを取ると、梨子が言った。

わたしは「えっ?」と間抜けな声を出した。

「タケルの心配様は尋常じゃなかったわ。いつもクールなくせに、ソワソワしてわたしたちの声も聞こえなくなってた、あんなタケル見たの初めてよ」

わたしをからかうように梨子は言う。

「タケルは、しずくに気がある」そう言われている気がして、顔全体から頭のてっぺんまで熱が帯びていくのを感じた。