月と太陽

「周りの大人がオドオドする中、タケルは素早く袋を出して、わたしの口にあてたの。あの時のタケル、かっこよかったのよ」

その光景を見ていたわけではないのに、なぜか想像することが出来た。

わたしは「タケル凄いね。14歳で咄嗟にそんな対応出来るなんて」と言った。

中に入り、自分が持つ鞄の中で一番大きなものをクローゼットから引っ張り出す。

それに最小限の服を詰め込み、あとは化粧ポーチや小物などを押し込んだ。

手を動かしながら、わたしは梨子の話の続きを聞いた。

「それで、タケルに連れて行かれたの?」

わたしがそう訊くと、梨子は「そう、日下家にね」と答えた。