月と太陽

わたしは、あまりあの家には帰りたくなかったが、やはり着替えくらいはと思い、一度帰ることにした。

「俺もついて行くよ。1人で荷物抱えて来るの大変だろ」

タケルがそう言うと、「ちょっと待った」とタケルの後ろから顔を出す梨子。

「女の子の部屋に入るんだから、女の子が一緒に行かないと。わたしが一緒に行くわ」

緩やかなウェーブが入った落ち着いた茶色い髪を耳にかけ、梨子はタケルを見上げて言った。

タケルは予想外の梨子の言葉に驚いているように見えたが、「おう、頼む」と言っていた。

「しずく、行きましょ」

梨子に初めて名前を呼ばれた。