月と太陽

「それでだね、しずくちゃんには、もうカウンセリングは必要なくなったと思っている」

お父さんのその言葉が一瞬、理解出来なかった。

カウンセリングが必要なくなった…

つまり、それって…

「退院の時期がきた」

耳に響くお父さんの言葉が遠ざかっていくように感じた。

退院。つまり、あの家に戻らなければならない。

冷たい、人の温もりを感じないあの家に。

わたしは、お父さんからの話があったあとの記憶がない。

「4月からは、元の生活に戻っていいよ」

そう言われたことは覚えている。

元の生活になんて戻りたくない。

気付けばわたしは、タケルに包まれながら涙を流していた。