月と太陽

わたしは、そっと指先をタケルの手に触れた。

そのことに驚くようにタケルがわたしの方を向く。

わたしはタケルの手を握り締めた。

やはり、タケルの手は温かい。

「…行ってもいいよ」

わたしはタケルを見上げて言った。

出来るだけ明るい声で、柔らかい表情で。

タケルは声にならない程小さく「えっ…」と漏らした。

「アメリカ、行ってもいいよ。てゆうか、行きなよ。夢を叶えるために、勉強しておいで」

わたしの言葉が聞こえていないかのように、タケルは何も言わずに前を向いた。

そして、一粒だけ涙を流した。

「ごめんな…」

そう呟くタケルの手に力が入っているのが伝わってくる。

「何で謝るの?わたしは、タケルにやりたいことをやってもらいたいだけよ。正直言うと、離れるのは寂しいけど、永遠の別れじゃないでしょ?」

わたしがそう言うと、タケルは少しだけ笑い、再びこっちを向いてくれた。

そして「必ず戻って来るよ」と、力強く誓ってくれたのだ。