月と太陽

わたしはずっと、その事ばかり考えた。

食事中もお風呂の時間も、その事で頭がいっぱいだった。

どちらかと言えば、行って欲しくない気持ちの方が強い。

もし仮にタケルが留学してしまったら、タケル居ない毎日にわたしは耐えられるだろうか。

寂しさで気が狂ってしまうのではないか。

それに、もしタケルに留学先で運命的な出会いがあったら、どうしよう。

わたしなんかよりも良い女なんて、そこら中にたくさん居るだろう。

タケルを信じていないわけではないが、そんな不安がどうしても頭を過ぎった。

すると、デスクの上に置いてある携帯電話がブーブーと音を立てながら、振動で歩き出す。

なかなか止まらない携帯電話にメールではなく、着信だということに気付く。

携帯電話を手に取ってみると、サブディスプレイに「土田梨子」と表示されていた。