お弁当が食べ終わり、まだ話し続けている麗佳の話に少しだけ耳を傾けながらも、わたしは窓側に視線を向けた。

さっきまで、匡人と涼と一緒に雑談していたはずのタケルの姿がない。

教室を見渡してもタケルは見つからず、わたしは少し不安になった。

「ちょっとごめん」

まだまだ話が尽きそうにない麗佳に断り、わたしは席を立って、雑談をする匡人と涼のそばまで歩み寄って行った。

「ねぇ、タケルは?」

わたしがそう訊くと、匡人と涼は困ったような表情を浮かべ、顔を見合わせた。

そして、わたしの問いに答えてくれたのは涼だ。

「1人で考え事がしたいからって、教室を出て行ったよ。どこへ行ったかは、俺たちもわからない」

「考え事って…、なんだろ」

最近、タケルの様子がおかしい事には気付いていた。

何だかボーッとしている時間が増えたし、いつだったか夢のせいにして泣いている時もあった。