月と太陽

そう、わたしたちの2つ前にママと、その彼が並んでいるのだ。

ママの姿を見ただけで、心臓が速く鳴り始める。

ママに気付かれたくない。

そう思っていると、亜利沙が自分で被っていたニット帽をわたしに被せてくれた。

「心配しないで。しずくには、わたしたちがついてるわ」

わたしを宥めるように優しく言う亜利沙。

心臓の鼓動は速くなったが、それほど取り乱していない自分に少し驚いた。

わたし自身が今の生活で落ち着いてきている、それを示しているような気がした。

わたしは何も喋らず、ひたすらタケルにしがみ付いていた。

さっきまで気にならなかったママの声がなぜか耳について、聞きたくないのに聞こえてしまう。

早く、この場から居なくなって欲しい。

そう思っていた。