月と太陽

「わたしは、ここに居るよ。タケルの前から居なくなるなんて、有り得ない」

そんな夢をみるなんて、不安に思っているという事なのだろうか。

よく考えてみると、わたしはあまりタケルに気持ちを伝えていないかもしれない。

「愛してる」なんて、多分言ったことがないはずだ。

「馬鹿だよな、俺。夢なんかで寝ながら泣くなんて」

「馬鹿だなんて思わない。わたしもきっと、そんな夢みたら泣くわ」

わたしたちは、そっと身体を離すと、顔を見合わせて笑った。

何が可笑しいのかは、わからない。

なぜか笑えたのだ。

「タケルも、わたしの前から居なくならないでね」

「当たり前だ。しずくが俺から離れることを望まない限り、そばにいるよ」

「じゃあ、ずっと一緒ね」

9時までそれほど時間があるわけでもないのに、わたしたちはそんなことも忘れ、再び抱き合いキスをした。