月と太陽

そして、笑うことも出来なかったわたしを、ここまで変えてくれたのは、タケルだ。

梨子にもだいぶ助けられた。

「しずくもだろ?初めて出会った時のしずくと、今のしずくは全然違う。まるで別人だよ」

「そ、そんなに違う?変わったのは、自分でも実感してるけど」

「あの時のしずくは、生きたマネキンみたいだった。やっと人間になった感じかな」

「マ、マネキンって!まぁ…、言いたいことはよくわかるわ」

わたしたちは笑った。

お互い辛い思いをして生きてきた。

自分の居場所が見つからず、長い間彷徨った。

けれど、見つけたのだ。

自分が自分で居られる、安らげる場所を。

「今まで辛かった分、お互い幸せになろう」

涼はそう言って、グラスを持った。

わたしもグラスを持ち上げ、涼と乾杯をした。