月と太陽

「そうなんだ…、仕事とか?」

「いや、旅行だよ。あの人たちは、海外で年越しをするのが好きらしい」

涼はそう言って、呆れたように笑った。

両親を「あの人たち」と呼ぶなんて、あまりいい関係ではないんだなと思った。

わたしとママのように。

「俺は望まれて生まれたわけじゃないんだ。生活自体に困ったことはないけど、愛情は一切感じたことはなかったよ」

「…わたしと少し似てるわね」

「そうだね」

涼は静かに笑った。

わたしも少しだけ、笑って見せた。

「でも、今の俺には亜利沙がいる。亜利沙が生きる素晴らしさを教えてくれた。命を無駄にしようとしてた俺にね」

命を無駄にしようとしてたとは、自分で命を絶とうとしたという事だろうか。

でも、亜利沙に救われたんだ。

わたしもそうだったな。

わたしが弱ってるところを見つけて、ここに連れて来てくれたのは、亜利沙だから。