月と太陽

わたしはタケルに気付かれないように、微動だにせずタケルが再び眠ってくれることを待ったが、タケルは手のひらで瞼を擦ると目を開けた。

起こしてしまったのだ。

ふと視線をわたしに向けたタケルは、どうしてわたしが居るのか理解出来ていないようで、フリーズでもしてしまったかのようにわたしを見つめていた。

「タケル、ご、ごめんね。勝手に入っちゃって」

わたしは言い訳をしたかったが、まずは謝った。

それでも寝ぼけているのか、タケルは理解出来ていないような表情を浮かべ、身体を起こした。

「いや、別に入るのは構わないけど…、何かあった？」

「タケルに訊きたいことがあって、壁をノックしたんだけど…、返事がないから気になっちゃって。もしかしたら、嫌われたのかなって…」

わたしの言葉にタケルは笑った。

そして、「馬鹿だなぁ、そんなことあるわけないだろ」とわたしの頭を優しく撫でたのだ。