梨子は、タケルとの初デートのことを詳しく訊いてきた。

梨子の問いにわたしは照れながらも、正直に答えていく。

「で、キスはしたの?2人きりの時間があったんだから、キスくらいはしたわよね?」

「え、う、うん…まぁ」

すると、寝ていたと思っていた匡人が勢いよく起き上がった。

「やっとチューかよ!それ以上は!?」

「ちょ!ちょっと、匡人!寝てたんじゃなかったの!?」

匡人はニヤニヤと笑っている。

匡人に聞かれたのはまずい…

だって、必ずタケルをからかいに行くだろうから。

案の定、匡人はタケルのところまで駆け寄って行き、後ろから腕をタケルの首に掛けていた。

この場所から2人が話す声は聞こえないが、匡人がからかい、タケルが照れながらもクールに対応していることはわかった。

わたしは今、確かに感じている。

この仲間に囲まれている幸せを。

そして、タケルという愛おしく想える人が出来た幸せを噛み締めている。