月と太陽

わたしは抵抗しなかった。

そのまま大人しく、幸ちゃんに抱き締められた。

何だか変な気分だ。

わたしは、幼い時の幸ちゃんはよく知っているが、今の幸ちゃんをよく知らない。

わたしにしたら、今の幸ちゃんは、わたしが知ってる幸ちゃんとは別人のように思えてならなかった。

それは、悪い意味ではない。

離れていた時間がそうさせているだけだ。

「幸ちゃん、ありがとう…」

わたしは幸ちゃんの胸に耳をあてながら言った。

幸ちゃんの鼓動も速く、わたしに伝わってくる。

「俺はしずくを守りたかっただけだ」

幸ちゃんの声が耳に響く。

その声は穏やかで、さっきまで恐い顔をして喧嘩していた人とは思えない程だ。